英雄
戦争を戦った将軍ではなく、その戦争を冷静に見つめ、書き残した記録者がいます。フィレンツェの政治家フランチェスコ・グイッチャルディーニ。彼が著した『イタリア史』は、この混乱の時代を今に伝える最も重要な記録の一つになりました。 今回はこの同時代…
フランス、スペイン、神聖ローマ帝国。外国勢力に蹂躙され続けるイタリアで、数少ないイタリア人自身の軍事的英雄がいます。メディチ家出身の傭兵隊長ジョヴァンニ。彼が率いた「黒隊」は、当時のイタリアで最強と謳われました。 今回はこの武人の生涯をご紹…
槍を中心とした中世以来の戦い方に、銃という新しい武器を組み込む。そんな戦術革命を成し遂げた将軍がいます。スペインのゴンサロ・フェルナンデス・デ・コルドバ。彼の登場によって、戦争のあり方そのものが変わり始めることになりました。 今回はこの"偉…
わずか数年の間に、彗星のごとく現れて、彗星のごとく消えていった若き将軍がいます。ガストン・ド・フォワは、22歳という若さで戦場に散りながら、その戦いぶりは今も語り継がれています。 今回はこの"イタリアの稲妻"の短い生涯をご紹介していこうと思いま…
「運命の女神は勇敢な者に味方する」。この信条を体現するかのように生きた男がいます。チェーザレ・ボルジア。枢機卿の座を自ら投げ捨て、剣一本で権力の階段を駆け上がった、ルネサンス史上屈指の異端児です。 今回はこの野心家の生涯をご紹介していこうと…
たった一人の王の野心が、その後65年も続く大戦争の引き金になる。そんな歴史の転換点を作った人物がいます。フランス王シャルル8世。今回はこのイタリア戦争の口火を切った王の生涯をご紹介していこうと思います。 時代背景 病弱な王の即位 周到な外交準備 …
ルネサンス美術が花開いていたその同じ時代、イタリア半島は半世紀以上にわたって戦場になり続けていた。 フランス、スペイン、神聖ローマ帝国という当時のヨーロッパの大国が、豊かなイタリアの領土をめぐって次々と介入し、複雑に絡み合う同盟と裏切りを繰…
カトリックの守護者を自任するフランス国王が、よりによってイスラム世界の盟主と同盟を結ぶ。 当時のヨーロッパを驚愕させたこの外交は、一人の男が抱いた宿敵への執念から生まれたものだった。 フランソワ1世。今回は、生涯をかけてカール5世という巨大な…
死んだことを、誰にも悟らせるな。 そんな遺言に近い状況の中、軍は数週間にわたって王が生きているかのように振る舞い続けた。 オスマン帝国史上最大の版図を築いた男、スレイマン1世。 今回は、ヨーロッパから「壮麗王」、自国民から「立法者」と呼ばれた…
彼が治める領土では、常にどこかで太陽が昇っていた。 スペイン、オーストリア、ドイツ諸邦、ネーデルラント、そして新大陸の植民地まで。人類史上でも屈指の広大な版図を一代で束ねた男、カール5世。 だがこれほどの権勢を築きながら、彼は最後、すべてを投…
値段がつかなかった。 幼い頃、バイバルスは奴隷市場に売りに出された。しかし右目に白濁があったため買い手がつかず、格安で売れ残った。 その「格安の奴隷」が後に、世界征服を続けていたモンゴル帝国を初めて大敗させ、十字軍国家を次々と滅ぼし、エジプ…
最期の言葉は「エルサレム」だった。 1270年8月25日、北アフリカのチュニスで病に倒れたフランス王ルイ9世は、灰の上に横たわり、腕を十字に広げて、「エルサレム」とつぶやきながら息を引き取った。 一度も聖地にたどり着けなかった王の、最後の言葉だった…
成績はクラスで最下位に近く、教師からは「見込みなし」と評された少年がいる。 父からも「お前は落伍者になるだろう」と見放されていたこの少年が、後にイギリスを率いてナチス・ドイツと戦い、20世紀を代表する指導者として歴史に名を刻むことになる。 ウ…
大統領に就任してからわずか数か月後、彼は人類史上最も重い決断の一つを下すことになった。 それまで副大統領として、原子爆弾の開発計画すら知らされていなかった男が、その使用の可否を自ら判断しなければならなかった。 ハリー・トルーマン。原爆投下を…
史上最大規模とされる上陸作戦の決行を、彼はわずか数時間で決断しなければならなかった。 天候は荒れ、作戦延期を求める声もあった。それでも、これ以上延期すればドイツ軍に察知される危険が高まる。 部下たちは、最後の判断を彼一人に委ねた。 ドワイト・…
アメリカとの戦争に、彼自身は最後まで反対していた。 それでも開戦が避けられないと悟った時、彼は誰よりも大胆な作戦を立案することになる。 山本五十六。真珠湾攻撃を指揮した提督の生涯を紹介していく。 時代背景——悪化する日米関係 アメリカ留学の経験—…
敵軍の兵士たちからも、その名は畏敬の念とともに語られていた。 北アフリカの砂漠を縦横無尽に駆け回り、圧倒的に不利な状況から何度も連合軍を翻弄した男。 エルヴィン・ロンメル。 「砂漠の狐」と呼ばれ、敵将からも高く評価されたドイツ軍将軍の生涯を紹…
祖国が降伏を決めたその日、一人の准将だけが降伏を拒み、敵国イギリスへと飛び立った。 従う兵力は、まだほとんどなかった。それでも彼はマイクの前に立ち、フランス国民に向けて抵抗の継続を呼びかけた。 フランスは戦いに敗れた。しかし、戦争そのものが…
美術学校の入学試験に、彼は二度落ちている。 審査員から「画家としての才能に欠ける」と評価されたこの青年が、やがて一つの国家を独裁的に支配し、世界を戦火に巻き込むことになるとは、この時誰も想像していなかった。 今回は、第二次世界大戦を引き起こ…
史上最も多くの命が失われた戦争。その死者数は、民間人を含めて5000万人とも8000万人とも言われている。 第二次世界大戦。今回はこの人類史上最大の惨禍を、そこに関わった人物たちの視点から時系列で追っていく。 ヨーロッパの戦場、太平洋の戦場、それぞ…
フリードリヒ2世が死んだとき、棺の中に秘密があった。 19世紀に学術調査のために棺を開けると、フリードリヒはイスラム風の衣装を身にまとっていた。そしてシャツの袖にはアラビア語でこう刺繍されていた。 「友よ、寛大なる者よ、誠実なる者よ、知恵に富め…
「神はブタどもが入ることを許したわけですか!」 エルサレムのモスクに入ったフリードリヒ2世は、鳥よけの金網を見て管理人に尋ねた。 「これは何のためですか」と。「小鳥が入るのを防ぐためです」と答えると、フリードリヒは一言こう言った。 聞いていた…
50歳を過ぎてから王となり、70歳を超えてから皇帝となった男がいる。 フランスの一地方貴族に生まれたジャン・ド・ブリエンヌ。 若い頃から王として君臨していたわけでもなければ、巨大な領地を持つ大国の君主でもない。 それでも彼は人生の後半になって歴史…
革命の主役たちが表舞台で華々しく活躍している間、ある男は地味な実務をこつこつとこなし続けていた。 その男は、革命を主導したレーニンや赤軍を率いたトロツキーをも追い落とし、ソ連の頂点へと上り詰めていく。 その男こそ、後にソ連の絶対的な権力者と…
元々は北極探検で名を馳せた海軍軍人だった。その男が、内戦の中で一国の元首を名乗ることになるとは、誰も想像していなかっただろう。 白軍を率いてボリシェヴィキ政権に対抗した提督、アレクサンドル・コルチャーク。今回はこの、内戦で敗れた指導者の生涯…
軍事経験はほとんどなかった。それでも彼は、ゼロから軍隊を組織し、内戦を勝利に導いてみせた。 赤軍の生みの親として知られる革命家、レフ・トロツキー。今回はこの、稀代の組織者の生涯を紹介していく。 時代背景 流刑地からの脱出 赤軍の創設 鉄道列車を…
亡命先から帰国して、わずか7か月ほど。 その短い期間で、彼は一つの帝国を丸ごと作り変えてしまった。 十月革命を主導し、ソビエト政権を樹立した革命家、ウラジーミル・レーニン。 今回は、20世紀の世界史を大きく変えた革命家、レーニンの生涯を紹介して…
皇帝を退位に追い込んだ革命の立役者は、わずか数か月後、自分自身が権力の座から追われることになった。 臨時政府の首相として国を率いたアレクサンドル・ケレンスキー。今回はこの、革命の主役になりきれなかった政治家の生涯を紹介していく。 時代背景 弁…
300年続いた王朝の最後の皇帝は、わずか数日の間にすべてを失った。 専制政治への不満が限界に達していたことに、本人が最後まで気づけなかったのかもしれない。ロマノフ王朝最後の皇帝、ニコライ2世の生涯を紹介していく。 時代背景 血友病の皇太子とラスプ…
300年続いた王朝が、わずか数日で崩れ去った。そしてその後に訪れたのは、平和ではなく、さらに血なまぐさい内戦だった。 ロシア革命と、それに続く内戦。今回はこの激動の時代を彩った人物たちの視点から、その経過を簡単に解説していく。 ロシア革命・内戦…