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『スパルタクス』ローマを苦しめた奴隷戦士について

 

たった一人の戦士がローマを苦しめた。奴隷にまで身分を落としたその英雄は、多くの戦士を集って、最大でも12万から18万まで勢力を拡大させて、ローマに大打撃を与えた。彼の名前はスパルタクス。ハンニバルに並ぶ「ローマの敵」と謳われることになる大英雄である。近代にもなると、カール・マルクスから「古代プロレタリアートの真の代表者」と評された。

 

今回はそんなスパルタクスをなるべく簡単に紹介していこうと思います。

 

 

 

 

生涯

 

奴隷以前

 

古代ローマの歴史の中で奴隷による大規模な反乱は、三回しかない。スパルタクスは最後にして最大の反乱を指導した人物とされている。しかし、スパルタクスが奴隷となる以前の情報は残っていない。出生や前歴に関しては、数々の予想がある。最も有力なのは、それなりの軍事経験を積んだ元軍人で、ローマ軍に敗北したことで捕虜となった説だ。元軍人でもなければ、大部隊を率いて、ローマと善戦するなんて不可能だろう。

 

経緯は憶測の域を超えられないが、明瞭としているのは、奴隷となり、剣闘士養成所を経営していた人物に買われたことだ。

 

反乱の始まり

 

剣闘士となったスパルタクスだったが、あまりにも過酷な環境に誰もが悲鳴を上げていた。狭い空間に奴隷を押し込んで、寝食もまともに取れない。不安を積もらせた剣闘士たちは協力関係を結んで、逃走を計画した。延べ200人による一斉の脱走計画は事前に情報が漏れていたが、数人が台所を襲撃して、包丁などの武器を手に入れた。そして運がいいことに、剣闘士用の武器を運ぶ馬車を見かけたので、70人が装備を整えることができたのだ。

 

 そして三人がリーダーに選ばれて、そのうちの一人がスパルタクスだった。

 

200人の守備隊を撃破

 

 装備を整えたスパルタクス達は、山を占拠した。現代で言う市に当たる組織の守備隊200人が派遣されたことで、戦いが始まる。鍛え抜かれたスパルタクス達は想像以上に強く返り討ちにした。ローマ軍から鹵獲品も手に入れて士気が高まることになる。

 

3000人の法務官グラベルを敗る。

 

 スパルタクス達は山を根城にして周辺の街を襲撃しながら奴隷を解放しては、戦力を強化していく。守備隊が撃破されたことを知ったローマ軍は、法務官グラベルと3000の部隊を派遣した。グラベルは山を占拠しているスパルタクス軍の逃げ道を封鎖して、彼らのは食糧が尽きるのを待つ作戦に出た。しかし、スパルタクスは油断しているグラベル軍を奇襲をして3000の部隊を撃破した。鹵獲品が増えたことで、ローマ1個隊分の武器を手に入れた。この時点で反乱軍は1万人に到達した。

 

15000の部隊と戦う

 

ただの反乱と思われていたスパルタクス達だったので、グラベルなどは寄せ集めの集団に過ぎなかった。そこでローマは三人の有力な将と1万5千人の兵を派遣することに決めた。この戦いでスパルタクス軍は最初の三人のリーダーの一人を失うが、この時には2万の反乱軍にまで膨らんでいた。そしてローマの首都に進撃を開始した。

 

 だがここで慢心するようなスパルタクスではなかった。仲間の中にはこのままローマの首都への進撃をするべきだと言う声もあったが、スパルタクスは兵力の強化をするべきであると主張した。意見をまとめたスパルタクスは、南下して主要都市を攻撃して、冬営する。この頃の戦力は7万にまで到達していた。

 

故郷を目指す

 

スパルタクス達は話し合って、ローマの首都を攻撃して政治的な交渉をするのではなく、故郷に帰る方が現実的であると主張した。それに伴って反乱軍は二つに分かれて北上することになる。しかし、この判断が間違いだったようで、別れた部隊はローマ軍に敗れた。スパルタクスは連戦を強いられることになり、辛くも勝利するが、これ以上の北上は無理であると考えて再び南下して、脱出ルートを模索することになる。

 

クラッススと戦う

 

南下したスパルタクスは海賊と接触して武器を調達することで、軍を整えた。この頃、ローマではクラッススが新たな法務官が当選していた。クラッススは自費で3万の兵を調達して、残存部隊を合わせて4万から5万の大部隊を準備していた。さらに他国に遠征中であった2部隊を合流させたことで、反乱軍の鎮圧に力を入れ始めた。ついにローマが本気になったのだ。

 

スパルタクスが南下して海賊との接触を試みるがいつまで経っても海賊が現れない。それもそのはずだ。海賊が既にローマと裏取引をしていたので、約束を守らなかったのだ。この時のスパルタクス反乱軍は18万にまで膨れ上がっていた。この大軍を維持できる食料がなく、このままでは全員が餓死をしてしまう状況である。そんななかでクラッススが攻めて来た。

 

 

食糧不足によって士気は低下。脱落者が続出する中で、他国に遠征していたローマ軍も合流していく。敗北が続くようになり、ついには完全に包囲をされた逃げ場もない。覚悟を決めたスパルタクスは残った全兵で、クラッススを迎え撃つことを決めた。この最後の戦いでスパルタクスは戦死したと言われている。どれがスパルタクスの遺体なのかもわからないくらいほどであった。捕虜となった1万の反乱軍は全員が処刑されることになる。

 

こうしてローマ史上三回しかなかったとされる大規模な反乱は、終結したのでした。