今回はギリシア神話に登場するカイネウスをご紹介して行こうと思います。元々は「カイニス」と言う名前を与えられた女性でしたが、とある事情で性転換することを望み名前を「カイネウス」と改めた。さらに不死身の身体にもして貰ったようです。スペックだけなら英雄クラスなんですが、男になってからの行いがあんまりよろしくないので英雄らしいエピソードはありません。ですが、ギリシア神話の英雄に多少は関わるのでご紹介して行こうと思います。よろしくお願いいたします。
「カイニス」女性だった頃
エラトスの娘カイニスは優れた美貌に恵まれた美しい乙女であった。たくさんの男が求婚するが、カイニスは誰とも結婚しようとしません。なんでもトロイア戦争の英雄アキレウスの父もテティス(アキレウスの母)と出会わなければ求婚していたと言われる。そう比喩するくらい美しい女だったのだ。
ある日。カイニスが海岸を歩いていると、その美しさに心奪われる存在が現れた。そいつはカイニスを強姦してしまったのだ。それがポセイドンだったりする。神すらも心奪われる美貌と言うことだろう。一説には合意の上であったともされるが、カイニスは強姦されたことでプライドをズタズタにされてしまい。女性でいることに恐怖を覚えた。ポセイドンは償いとしてカイニスの願いをなんでも聞くと言い出す。
それでカイニスは「二度とこんなことに合わないよう男性にして」と答えたようです。ポセイドンは約束通りに願いを叶えてカイニスを「男性」に変身させた。ついでなのかはわかりませんが、決して傷付かない「不死身」の肉体にもしてあげた。サービスがとてもいい。ポセイドンとしては本気で「悪い」と思っていたんだと思います。
こうしてカイニスは、男性になったので「カイネウス」と名前を改めました。
「カイネウス」男となってから
カイネウスはアルゴナウタイの一員としてイアソンと冒険したらしい。
英雄と言える力を持っていたので色んな冒険に出たのでしょう。色んな説があるようでハッキリとしたことはわかりませんが、カイネウスはケンタウロス一族との因縁があるようです。
友人の結婚式に招かれたカイネウスでしたが、ケンタウロス族が酔っ払って他の女性客も襲いはじめた。元女性であり、その恐怖を知るカイネウスは激怒して同席していたテセウス達と一緒に戦った。
この戦いでケンタウロス達はカイネウスを「女」と侮蔑して大木を幾つもカイネウスの上に積み重ねて窒息死させたようです。何だか呆気ない終わりですが、一説には女に戻っていたとも言われている。
別の話になりますが、とある地域の王となったカイネウスはケンタウロスと幾度も戦っていて因縁があった。その頃には神々を侮辱して、街の広場に槍を突き立てて「この槍を神々の序列に加えて崇めろ」と神に反発した態度を取っていたようです。この行いで怒ったのが神々の長「ゼウス」です。ゼウスはケンタウロス族にカイネウスの始末を命じたようです。
カイネウスにまつわる二つの説を提示しましたが、この二つ説を強引に繋げると、元々ケンタウロス族とは仲が悪く、さらにゼウスを怒らせてしまった。そしてケンタウロス族との戦いのなかで、ゼウスによって「女」に戻されて戦死した?そんな感じでしょうか?
最後に
以上で、ギリシア神話の英雄になり切れなかったカイネウスのご紹介でした。今回は性転換と言うことでいつぞやに書いたこの人のことも思い出しました。
この人はカイネウスとは逆で「男」から「女」になろうとした実在した人物なんですけど、興味がある方はご覧いただけると嬉しいです。
最後までありがとうございました。