チキンのネタ倉庫

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【詐欺師】歴史上に実在した世界のぺてん師

 色んな嘘があると思います。虚栄心からの嘘、自衛のための嘘、陥れる嘘とか、誰かのための嘘。誰もが日常的に嘘を吐き、権威のある人物が虚構を言えば、それが真実になることだってある。古代から人間社会は、嘘に紛れていた。別に嘘が悪いってことが、言いたいわけではない。人間がここまで飛躍的に科学技術を向上させて、ルール守り秩序を保った社会を形成できたのも、嘘を信じることができたからだ。例えば、神様の存在なんて、いい例ではないだろうか?人間の歴史を語る上で、神への信仰は何がなんなんでも触れなくてはならない。神の存在やあり方によって、幾度も戦争が起こったからだ。また、王と言う目には見えない権力の存在、お金と言う共通の価値、これらの虚構を人間が認知したことで秩序が生まれた。と、考えたなら、人間にとって嘘は必要なものである。

 

さて、今回ご紹介するのは、人間の得意技である嘘を使って自身の欲を満たした悪人である(一部を除いて)

彼らの嘘は人間の進化には、全く持って必要のない嘘で、愚かな行いだったものが、殆どだ。

しかし、面白い。国を虚構したものから、真の天才、役者まで、歴史上でも最も嘘を真実とした詐欺師、もしくはぺてん師を簡単には紹介していきたいと思う。彼らの、鮮やかかつ大胆で巧妙な手口に、驚く………かも

 

 

グレガー・マクレガー

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ポヤイス国。それはスコットランドに存在するとした国で、気候に優れ、農業にも適しているので住みやすい。近くには主要の貿易港もあり大変栄えているそうだ。入植者達は期待に胸を踊らした。ところが船で向かってみると、そこには何もなかった。港なんてないし、人もいない。あるのは前世代の廃墟だけであった。つまりポヤイス国なんてはじめからなかったのだ。270人近くが虚構の国に迷い込み、割と上流階級のメンツだったので、建築とか農業の知識になんて皆無である。一から国を立ち上げる力なんてなかった。結果的に遭難にした彼らは悪天候や病気によって半数以上が亡くなった。これだけの酷い目にあったにも関わらず事件の被害者は、グレガー・マクレガーを避難していなかった。黙れたと思わなかったのだ。それは、マクレガーが英雄と評価される人物だったからだ。スコットランドの英雄ロブ・ロイ・マクレガーの直系の子孫で、戦争でも大活躍した英雄とされていた。これだけのキャリアと、巧みな話術でマクレガーは多くの人を騙して、大金を手に入れた。準備も周到でポヤイスのドル札を作り、ガイドブックも作った(内容は適当)

面白いのは、マクレガーのキャリアが、かなり誇張されたものだったことだ。ロブ・ロイマクレガーの直系の子孫ではないし、戦争での活躍もイマイチだった。ポヤイス国の領土も本当に持っていたが、かなり小規模だったようだ。人間は、権力や影響力のある人物に黙れやすい。

 

テレーズ・ハンバード

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テレーズはアメリカの大富豪であるロバート・ヘンリー・クロフォードと偶然出会い命を救ったそうだ。そのお礼に彼の遺産を相続することになった。そんないい話があるものかと思うが、実際にテレーズはクロフォードの親族に訴えられる事になる。妙に信憑性を持った相続の話を利用したテレーズは、「いずれ多額な財産が手に入る。家の金庫には多額の財産がある」と、そんなような常套句を使ってお金を借りて、豪奢な生活を続けたそうだ。テレーズのパーティでは、当時の有名女優から、フランス大統領まで、伝説的なものになった。まあ、実際は、ロバート・ヘンリ・クロフォードなんて存在しないし、親族による訴えも自作自演。テレーズは子供の頃から虚言癖があり、自身を大きく見せることを生きがいにしてきた人格破綻者だった。何かも嘘であることが20年後に発覚することになる。きっかけはクロフォードの住所を適当に書いて裁判所に提出したことだった。これによって、テレーズは裁判所から疑われて、金庫を調べられることになった。大衆が注目するなか、金庫が開かれる。中に金目の物はなかった。

 

ラ・モット夫人

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宝石商のシャルル・ベーマーは先代の王ルイ15世の愛人であるデュ・バリー夫人のために540個のダイヤモンドで成る首飾りを制作したが、ルイ15世が亡くなったことで買取が保留になっていた。シャルル・ベーマーは、マリー・アントワネットに買わせようとするが上手くいかない。そこでラ・モット夫人に仲介を依頼をしたことで事件が始まった。

ルイ・ド・ロアン枢機卿はフランス王妃のマリー・アントワネットに取り入って、宰相になると言う野望があった。しかし、酒や女が大好きな性格が災いして、マリー・アントワネットに嫌われていた。そんな中で、ラ・モット夫人と出会う。ラ・モット夫人はマリー・アントワネットと親しい間柄であり、首飾りの代理購入者を探してると言うではないか。マリー・アントワネットに媚を売りたいロアン枢機卿は、この話に乗り首飾りを代理購入して、ラ・モット夫人に渡した。ラ・モット夫人と計画者達は、首飾りをバラバラにして、ロンドンで売り捌いたと言う。代金が支払われないことに、激怒したシャルル・ベーマーが直接王妃の側近を問い詰めたことで事件が発覚した。これに激怒したマリー・アントワネットによって関係者は逮捕されることになった。ラ・モット夫人とマリー・アントワネットは実際に会ったことはなかったが、この事件をきっかけになぜか愛人関係(レズ)を疑われた。後にラ・モット夫人はこの噂を元に本を出版して、金銭を得た。

 

ヴィクトール・ルースティヒ

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チェコ出身のルースティヒはフランスのエッフェル塔を売った大胆な詐欺師だ。エッフェル塔はパリ万博の目玉として建築された高層建築だったが、万博が終われば莫大な維持費が政府にのしかかった。この情報を察知したルースティヒは、書類を偽装して解体業社に手紙を送ったそうだ。精巧に偽装された書類によって数社が解体させて欲しいと名乗り出ることになり、代表者は高級ホテルに集められることになった。ルースティヒはエッフェル塔の解体による対価と、名誉を熱弁する。エッフェル塔の解体は、後日入札によって決められると言う。その中で解体業社「ポワソン」はどうしても仕事を受けたかったので賄賂を渡したそうだ。ルースティヒは賄賂を受け取るとフランスから逃げた。ルースティヒの巧妙なところは、エッフェル塔の解体は市民がパニックになるから、秘密裏に進めることを各代表に説明していたこと、さらには賄賂を渡したこともあり被害者も泣き寝入りするしかなかったことだ。
 

ウィテカー・ライト

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イギリスを代表する伝説的な詐欺師。若き頃から起業するが失敗していたライトは、アメリカで鉱山業に手を出した。はじめは他の者と同じ方法で、とにかく掘って価値のある石を掘り当てていたが、ライトは方法を変えた。それは、あらかじめ鉱石を埋めることで、投資すれば必ず儲けることができると、投資家を信じ込ませたのだ。投資させたほうが、遥かに効率よく儲かることにライトは味をしめた。買い取った穴が何の価値もないと投資家が気づいた頃には、ライトは行方を眩ませていた。ライトは社会的な地位の高い人物との人脈を広げて、事業を容易に拡大させることに成功する。そんな中でライトは、中断されていた地下鉄の建築に手を出した。 ライトは債権を発行するが、買い手が付かず、建設が難航する。仕方なくライトは上手くいっていると思わせるために、取引を不正に水増した。このことでライトは逮捕されることになり、有罪は確定すると、隠し持っていた青酸カリを飲んで自殺した。地下鉄の建築は別の人間によって、呆気なく完成したそうだ。
 

P・T・バーナム

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「グレイテスト・ショーマン」って言う映画をご存知でしょうか?ヒュー・ジャックマンが演じたP・T・バーナムは実在した人物である。映画では善人のように描かれているが、実像はただのペテン師である。60歳、もしくは70歳の黒人女性を奴隷として買いとったバーナムは、その老婆を160歳の長寿として、見せ物にした。商売を意外にも繁盛して、バーナムは稼いだ。老婆の死期が近づくと日に12時間も働かせた。さらには本当に160歳か解剖されることになると、見学料をとった。これによって160歳ではない真実が晒されることになるが、バーナムはこれを逆手に取り、新聞を使って実は老婆は生きているなどの嘘を広めた。結果的にバーナムの知名度は向上することになった。他にもオラウータンと魚の遺体を繋げて人魚の遺体として、博物館に展示したりと、なかなかのホラ吹きである。

 

グレイテスト・ショーマン (字幕版)

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  • 発売日: 2018/05/09
  • メディア: Prime Video
 

 

 

フェルナンド・ウォルド・デマラ・ジュニア

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IQ200の超天才の詐欺師とされる人物で、あらゆる人物になりすました。デマラは優秀ではあったが、学歴は何の意味がないと感じ高校を中退していた。この判断のおかげで海軍に入隊することができなかった。どんなに成績が優秀でも、学歴が壁になったのだ。そこでデマラは経歴を詐称して、別人として入隊する。優秀であったデマラは昇進することになるが、そこで経歴の詐称がバレて逮捕された。このことがきっかけでデマラは肩書きがあれば、どんな職業にもなれると他人を演じることに愉悦を覚えた。書類の偽造に磨きをかけて、演じる職業についての知識を徹底的に頭にたたき込んだ。囚人のカウンセラー、弁護士、修道士、大学教授など、まさに天才であった。戦争が起こるとカナダで医者を演じた。戦争中であったので、次々と負傷者の手術をすることになる。知識がないデマラは本を片手に手術をして、19人も助けたそうだ。このことで、英雄として新聞に名前が乗ることになったが、同時に別人であることが証明されてしまい逮捕された。しかし、兵士達は命を助けられたと、決して訴えはしなかったことで、国外通報とはなったが、無罪になったそうだ。デマラはお金のためではなく、自身が楽しむためにペテン師となった希有な人物だ。
 

 フランク・アバグネイル

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フランク・アバグネイルは上記で説明したデマラ同様に職業を転々としながら、現在の価値で40億もの大金を騙し取った伝説的な詐欺師である。しかも、詐欺を始めたのは16歳の頃で、逮捕される21歳までの話だ。その後も、改心したアバグネイルは企業に向けて、詐欺対策のアドバイスをする事業を展開して、35年以上もFBIと提携し、協力関係にあった。この伝説的な詐欺師は、2002年にスティーブン・スピルバーグ監督で映画されている。アバグネイルを演じているのは、レオナルド・ディカプリオだったりする。トム・ハンクスとの掛け合いも面白い。個人的には好きな映画なのでオススメです。

 

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン (字幕版)

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  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

ベンジャミン・フランクリン

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 フランクリンはアメリカ建国の父として知られる政治家である。過去には100ドル紙幣で肖像画が使われるなど、偉大な功績を数々残した誰もが知る偉大な偉人だ。そんなフランクリンは詐欺師ってどう言う意味かと思われるかも知れませんが、どんな人間にも嫌な一面はあるものである。若き日のフランクリンは兄が営んでいた印刷業を手伝っていたのだが、執筆を禁止されることになり、中年の未亡人と偽って執筆活動を行った。文才と想像力に長けていたフランクリンは、新聞を発行するようになる。暦(日めくりカレンダー)ではホラ話の内容が秀逸だったので人気が出た。40代に頃には、イギリスの新聞紙に五人の子持ちの未亡人が女性差別と戦う嘘を掲載して、その美談を信じたフランス人が、母国で話を焼き回したりした。60代になると、アメリカの先住民(数百人)の皮を剥いものが、イギリスの王様に送られていると嘘を書いた。これはイギリスとの講和条約を有利に進めるために広めた嘘である。結果的に悪いイメージを広められたイギリス王はアメリカ有利な条約を結ぶことになる。フランクリンはペテン師ではあったが、国ために嘘をついた。正義の人?だった。まあ、暦を書いていたときは、嘘を書いて楽しんでいたそうだが。
 

 

とてつもない噓の世界史

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