色んな嘘があると思います。虚栄心からの嘘、自衛のための嘘、陥れる嘘とか、誰かのための嘘。誰もが日常的に嘘を吐き、権威のある人物が虚構を言えば、それが真実になることだってある。古代から人間社会は、嘘に紛れていた。別に嘘が悪いってことが、言いたいわけではない。人間がここまで飛躍的に科学技術を向上させて、ルール守り秩序を保った社会を形成できたのも、嘘を信じることができたからだ。例えば、神様の存在なんて、いい例ではないだろうか?人間の歴史を語る上で、神への信仰は何がなんなんでも触れなくてはならない。神の存在やあり方によって、幾度も戦争が起こったからだ。また、王と言う目には見えない権力の存在、お金と言う共通の価値、これらの虚構を人間が認知したことで秩序が生まれた。と、考えたなら、人間にとって嘘は必要なものである。
さて、今回ご紹介するのは、人間の得意技である嘘を使って自身の欲を満たした悪人である(一部を除いて)
彼らの嘘は人間の進化には、全く持って必要のない嘘で、愚かな行いだったものが、殆どだ。
しかし、面白い。国を虚構したものから、真の天才、役者まで、歴史上でも最も嘘を真実とした詐欺師、もしくはぺてん師を簡単には紹介していきたいと思う。彼らの、鮮やかかつ大胆で巧妙な手口に、驚く………かも
- グレガー・マクレガー
- テレーズ・ハンバード
- ラ・モット夫人
- ヴィクトール・ルースティヒ
- ウィテカー・ライト
- P・T・バーナム
- フェルナンド・ウォルド・デマラ・ジュニア
- フランク・アバグネイル
- ベンジャミン・フランクリン
グレガー・マクレガー
ポヤイス国。それはスコットランドに存在するとした国で、気候に優れ、農業にも適しているので住みやすい。近くには主要の貿易港もあり大変栄えているそうだ。入植者達は期待に胸を踊らした。ところが船で向かってみると、そこには何もなかった。港なんてないし、人もいない。あるのは前世代の廃墟だけであった。つまりポヤイス国なんてはじめからなかったのだ。270人近くが虚構の国に迷い込み、割と上流階級のメンツだったので、建築とか農業の知識になんて皆無である。一から国を立ち上げる力なんてなかった。結果的に遭難にした彼らは悪天候や病気によって半数以上が亡くなった。これだけの酷い目にあったにも関わらず事件の被害者は、グレガー・マクレガーを避難していなかった。黙れたと思わなかったのだ。それは、マクレガーが英雄と評価される人物だったからだ。スコットランドの英雄ロブ・ロイ・マクレガーの直系の子孫で、戦争でも大活躍した英雄とされていた。これだけのキャリアと、巧みな話術でマクレガーは多くの人を騙して、大金を手に入れた。準備も周到でポヤイスのドル札を作り、ガイドブックも作った(内容は適当)
面白いのは、マクレガーのキャリアが、かなり誇張されたものだったことだ。ロブ・ロイマクレガーの直系の子孫ではないし、戦争での活躍もイマイチだった。ポヤイス国の領土も本当に持っていたが、かなり小規模だったようだ。人間は、権力や影響力のある人物に黙れやすい。
テレーズ・ハンバード
テレーズはアメリカの大富豪であるロバート・ヘンリー・クロフォードと偶然出会い命を救ったそうだ。そのお礼に彼の遺産を相続することになった。そんないい話があるものかと思うが、実際にテレーズはクロフォードの親族に訴えられる事になる。妙に信憑性を持った相続の話を利用したテレーズは、「いずれ多額な財産が手に入る。家の金庫には多額の財産がある」と、そんなような常套句を使ってお金を借りて、豪奢な生活を続けたそうだ。テレーズのパーティでは、当時の有名女優から、フランス大統領まで、伝説的なものになった。まあ、実際は、ロバート・ヘンリ・クロフォードなんて存在しないし、親族による訴えも自作自演。テレーズは子供の頃から虚言癖があり、自身を大きく見せることを生きがいにしてきた人格破綻者だった。何かも嘘であることが20年後に発覚することになる。きっかけはクロフォードの住所を適当に書いて裁判所に提出したことだった。これによって、テレーズは裁判所から疑われて、金庫を調べられることになった。大衆が注目するなか、金庫が開かれる。中に金目の物はなかった。
ラ・モット夫人
宝石商のシャルル・ベーマーは先代の王ルイ15世の愛人であるデュ・バリー夫人のために540個のダイヤモンドで成る首飾りを制作したが、ルイ15世が亡くなったことで買取が保留になっていた。シャルル・ベーマーは、マリー・アントワネットに買わせようとするが上手くいかない。そこでラ・モット夫人に仲介を依頼をしたことで事件が始まった。
ルイ・ド・ロアン枢機卿はフランス王妃のマリー・アントワネットに取り入って、宰相になると言う野望があった。しかし、酒や女が大好きな性格が災いして、マリー・アントワネットに嫌われていた。そんな中で、ラ・モット夫人と出会う。ラ・モット夫人はマリー・アントワネットと親しい間柄であり、首飾りの代理購入者を探してると言うではないか。マリー・アントワネットに媚を売りたいロアン枢機卿は、この話に乗り首飾りを代理購入して、ラ・モット夫人に渡した。ラ・モット夫人と計画者達は、首飾りをバラバラにして、ロンドンで売り捌いたと言う。代金が支払われないことに、激怒したシャルル・ベーマーが直接王妃の側近を問い詰めたことで事件が発覚した。これに激怒したマリー・アントワネットによって関係者は逮捕されることになった。ラ・モット夫人とマリー・アントワネットは実際に会ったことはなかったが、この事件をきっかけになぜか愛人関係(レズ)を疑われた。後にラ・モット夫人はこの噂を元に本を出版して、金銭を得た。
ヴィクトール・ルースティヒ
ウィテカー・ライト
P・T・バーナム
フェルナンド・ウォルド・デマラ・ジュニア
フランク・アバグネイル