チキンのネタ倉庫

歴史、事件、雑学、エンタメを適当に紹介するブログ

加賀恭一郎シリーズの順番と私的なオススメ

 

 

加賀恭一郎は東野圭吾が生んだ名刑事です。初登場は著者の第二作に当たる「卒業」です。仲が良かったグループ内で殺人事件が起こり、大学生だった加賀恭一郎が探偵となって事件の真相を追及する話です。最新作に当たる「希望の糸」ではおそらく40代から50代で警部補に昇進しています。ウィキによると東野圭吾にとって加賀恭一郎と言うキャラクターは、「自分がやったことがない実験作に挑む時に登場させることが多い、頼りになるキャラクター」であると述べているようです。つまり著者と共に歩んできたキャラクターと言えのではないでしょうか。実際に加賀恭一郎シリーズは、「眠りの森」のようなメロドラから、「希望の糸」「新参者」のような感動的な話、「赤い指」のような倒叙ミステリー、「どちらかが彼女を殺した」「私が彼を殺した」のような読者への挑戦状、ホワイダニットに趣を置いた「悪意」など、多様な種類のミステリーが描かれているのです。

 

今回はシリーズの順番と私的なオススメを紹介できたらと思います。順番は刊行順ではなく時系列です。(多分)

 

 

大学生時代

 

卒業

 

卒業 (講談社文庫)

 

7人の大学4年生が秋を迎え、就職、恋愛に忙しい季節。
ある日、祥子が自室で死んだ。
部屋は密室、自殺か、他殺か?
心やさしき大学生名探偵・加賀恭一郎は、祥子が残した日記を手掛りに死の謎を追求する。
しかし、第2の事件はさらに異常なものだった。
茶道の作法の中に秘められた殺人ゲームの真相は!?

 

 

大学4年生の頃の話です。仲間内の一人である女子大生が自室で亡くなった。警察は自殺であると判断するが、加賀恭一郎は疑念を抱き密室殺人であると断定する。学生探偵加賀恭一郎の最初で最後の事件。

 

 

警視庁捜査一課時代

 

眠りの森

 

眠りの森 (講談社文庫)

 

青年刑事が追う踊り子の美しくも哀しい秘事華麗な舞を舞うバレエ団のプリマが
正当防衛とはいえ、レッスン場に忍び込んだ男を殺害してしまった。
捜査に当った青年刑事は次第にあるバレリーナに魅かれていく。

 

 

加賀恭一郎第二の事件。大学卒業に教師になった加賀でしたが、警察に転職してからのエピソードになります。まだ若い加賀恭一郎は事件の関係者であるバレリーナに恋をします。そして彼女のために、動くことを決めます。

 

 

悪意

 

悪意 (講談社文庫)

 

人はなぜ人を殺すのか。
東野文学の最高峰。
人気作家が仕事場で殺された。第一発見者は、その妻と昔からの友人だった。
逮捕された犯人が決して語らない「動機」とはなんなのか。
超一級のホワイダニット

 

韓国や中国での評価が高い。人気作家が殺害されるのですが、犯人は呆気なく逮捕されます。その犯人は被害者と幼馴染であり、加賀恭一郎の教師時代を知る人物でした。明かされる加賀の教師時代の敗北、犯人の真の目的と狙いとは?

 

 

練馬署時代

 

どちらかが彼女を殺した

 

どちらかが彼女を殺した (講談社文庫)

 

殺したのは男か女か
究極の「推理」小説自殺の偽装を施され、妹は殺された。
警察官である兄が割り出した容疑者は二人。
犯人は妹の親友か、かつての恋人か。
純粋推理の頂点を究めた話題沸騰のミステリ!

 

犯人は最後まで明かされない。読者への挑戦状になります。自信がある人はぜひ読んでみてください。

 

 

私が彼を殺した

 

私が彼を殺した (講談社文庫)

 

全編、読者への挑戦状。
この謎を解けるか?
流行作家・穂高誠が、新進の女流詩人・神林美和子との結婚式当日に毒殺された。
容疑者は3人。
しかし3人が皆「私が彼を殺した」とつぶやく。
はたして真相は…

 

こちらも最後まで犯人が明かされない読者への挑戦状になりますが、前作の『どちらかが彼女』を殺したよりも難易度は遙かに高いです。候補は三人に増えて、かなり難しいかもしれません。

 

 

嘘をもうひとつだけ

 

嘘をもうひとつだけ (講談社文庫)

 

バレエ団の事務員が自宅マンションのバルコニーから転落、死亡した。事件は自殺で処理の方向に向かっている。だが、同じマンションに住む元プリマ・バレリーナのもとに一人の刑事がやってきた。彼女には殺人動機はなく、疑わしい点はなにもないはずだ。ところが…。人間の悲哀を描く新しい形のミステリー。

 

シリーズ初の短編集です。どの話も嘘がテーマになっています。全5話で、個人的には2番目の「冷たい灼熱」が印象的でした。

 

赤い指

 

赤い指 (講談社文庫)

 

「家族」の物語。
犯罪を越えた本当の闇。
この家に隠されている真実は彼らの手で解かれなければならない。
ひとつの事件から見える家族の肖像。
二日間の悪夢と孤独な愛情の物語。

 

 

元々は短編集の「嘘をもうひとつだけ」に収録されていた物語でしたが、東野圭吾自身が短編ではなく長編向けであると判断して6年の構想の果てに生まれ変わった。ネプチューンの名倉潤なども、好きな作品に上げている。家族の在り方を考えさせらる作品です。

 

 

日本橋署

新参者

 

新参者 (講談社文庫)

刑事・加賀恭一郎、日本橋へ。

日本橋の片隅で一人の女性が絞殺された。着任したばかりの刑事・加賀恭一郎の前に立ちはだかるのは、人情という名の謎。手掛かりをくれるのは江戸情緒残る街に暮らす普通の人びと。「事件で傷ついた人がいるなら、救い出すのも私の仕事です」。大切な人を守るために生まれた謎が、犯人へと繋がっていく。

 

加賀恭一郎が日本橋署の勤務となり、阿部寛によって連続ドラマ化、映画化もされているので、シリーズにとっては代表作かもしれません。犯人家族の身勝手な生き方が胸糞悪い。

 

 

麒麟の翼

 

麒麟の翼 (講談社文庫)

 

「私たち、お父さんのこと何も知らない」。胸を刺された男性が日本橋の上で息絶えた。瀕死の状態でそこまで移動した理由を探る加賀恭一郎は、被害者が「七福神巡り」をしていたことを突き止める。家族はその目的に心当たりがない。だが刑事の一言で、ある人物の心に変化が生まれる。父の命懸けの決意とは。

 

映画化もされている。瀕死になってまで麒麟の像に向かった父。どうして拘ったのか?息子の罪。事件の背景は想像以上に広い。

 

 

 

祈りの幕が下りる時

 

祈りの幕が下りる時 (講談社文庫)

 

悲劇なんかじゃない。これが私の人生。
加賀恭一郎は、なぜ「新参者」になったのか---。

明治座に幼馴染みの演出家を訪ねた女性が遺体で発見された。捜査を担当する松宮は近くで発見された焼死体との関連を疑い、その遺品に日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることに加賀恭一郎は激しく動揺する。それは孤独死した彼の母に繋がっていた。

 

加賀恭一郎が主人公として語られ最後の物語。加賀恭一郎の母が失踪し真相と、日本橋に移動した本当の理由とは?加賀恭一郎の過去と深く交わる事件の真相とは?

 

 

警視庁捜査一課

 

希望の糸

 

希望の糸

 

小さな喫茶店を営む女性が殺された。
加賀と松宮が捜査しても被害者に関する手がかりは善人というだけ。
彼女の不可解な行動を調べると、ある少女の存在が浮上する。
一方、金沢で一人の男性が息を引き取ろうとしていた。
彼の遺言書には意外な人物の名前があった。
彼女や彼が追い求めた希望とは何だったのか。

 

前作で警視庁捜査一課に戻ることになった加賀恭一郎ですが、この作品では脇役です。主人公は従兄弟の松宮になります。松宮は赤い糸から登場していて、今までは助手のような立ち位置でした。勘違いによる悲劇。

 

希望の糸

 

 

個人的なオススメ三作品

 

個人的に好きなのは「悪意」「私が彼を殺した」「新参者」かな。

特に悪意は話が二転三転と、変わっていく。被害者と加害者のイメージが大きく変わっていきます。