1932年にアメリカの推理小説かエラリークイーンによって発表された長編小説「Xの悲劇」を紹介していこうと思います。エラリークイーンはフレデリック・ダネイとマンフレッド・リーの二人組からなる作家で、新しいシリーズを書く上で新しい主人公と、ペンネームを求めた。そうして誕生したのが、バーナビー・ロス名義で書いた『Xの悲劇』でした。Xの悲劇で探偵役をするのドルリー・レーン。聴覚を悪くしたことで現役を引退した元舞台俳優です。俳優らしく変装して調査をするなど、元俳優らしい個性を持っています。
あらすじ
第一の事件
満員電車で株式仲介人のハリー・ロングストリートが毒殺された。ロングストリートは傲慢で高圧的な人間であったので、恨まれることが多く容疑者があまりにも多かった。電車は密室状態で、警察が現場に到着して一人一人の事情聴取及び手荷物検査が終わるまで、誰も帰ることは許されてなかった。ロングストリートは仲間を集めて、晩餐会に向かう途中だった。同行していた仲間たちの中で最も怪しいのは、共同経営者のドウィットと、騙されて多額の大損をしたコリンズであった。ドルリーレーンは警察からの話を聞いただけで、犯人がわかったと言う。
第二の事件
車掌のウッドが事件について重要な供述があるから来て欲しいと、警察から連絡が届いた。警察とドルリーレーンは共にフェリーに向かう。ところがフェリーが着船するタイミングで誰かが突き落とされたのだ。船と港に挟まれた遺体は顔が潰れていたが、市電の制服と、ふくらはぎに古傷があることから遺体が車掌のウッドであることを警察は断定した。フェリーでも電車と同様に可能な限り、利用していた人物は足取りを止められた。その中にドウィットがいた。ドウィットはとある人物に呼び出されたが、それが誰かは言えないと語り、警察はドウィットは逮捕した。裁判にまで発展することになるが、ドルリーレーンによってドウィットは釈放されることになる。
第三の事件
釈放されたドウィットと一同とドルリーレーンは共に電車に移動をする。コリンズが内密な話があるとドウィットを誘って前方の車両に移動した。ところがいくら経過してもドウィットは帰ってこない。ドルリーレーンは彼を探して移動すると、射殺されたドウィットを発見した。この時点で最も怪しいのはコリンズではあるが、彼は犯人であることは全くの検討違いだ。この三つの事件は過去のとある事件が大きく関わっていて、犯人は復讐のために三人を殺したのだ。果たして犯人は誰なのか?
今回僕は角川文庫バージョンのXの悲劇を読みました。海外の古典ミステリーらしく少々文字数が多くて読みにくい。普段から本を読むタイプではない人にはあんまりオススメはできないかもしれません。
個人的には事件の真相には少しばかり違和感を感じたことは否めない。犯人が大昔の事件を一生を使って復讐を果たすためにここまでできるのものなのだろうか。トリックも少し無理があるように思えました。一人で複数を担当する系。犯人はそのトリックを成立させるために、とんでもな時間と精緻なトリックを考え続けたことになるし。
アメリカでは「Xの悲劇」は評価は高くて、日本では「Yの悲劇」の評価が高いそうです。次はYの悲劇を読んでみたい。